危険空き家 高知県内42件撤去 特措法5年 交渉難航案件も

危険空き家 高知県内42件撤去 特措法5年 交渉難航案件も

  • 2020/11/06

 

▼記事によると

2015年5月に全面施行された空き家対策特別措置法に基づき、高知県内では19年度までに4市町で計55件が倒壊の危険などがある「特定空き家等」に認定され、うち42件が取り壊されたことが、高知新聞社の調査で分かった。防災面などで法整備の効果が一定あったと言えるが、所有者との交渉が難航しているケースもある。

 

特措法は、放置すれば倒壊の恐れがあったり、景観を損なったりする家屋を自治体が特定空き家に認定し、修繕や撤去を助言・指導できるよう規定。改善されない場合は勧告、命令に進み、行政代執行による強制撤去も可能とした。

 

県内の特定空き家認定と解体件数の内訳は、吾川郡仁淀川町33件(解体27件)、土佐市12件(10件)、高知市8件(4件)、香美市2件(1件)。解体物件のうち高知市の1件は所有者や相続人が確認できなかったため略式代執行で撤去されたが、ほとんどは助言・指導の段階で所有者が解体に応じた。修繕したケースはなかった。

 

認定件数が最多の仁淀川町は、17年に建築の専門家らで構成する協議会を立ち上げ、危険度などを判定する体制を整えた。町担当者は加えて「町民から撤去などの相談や要望があった物件全てを判定対象にしている」と、件数が多い背景を説明する。

 

代執行については「極力避けたい」のが自治体に共通した考え。強制撤去費用は、所有者が判明していても支払い能力がなければ市町村の負担となる可能性がある。

 

一方、特措法の対象物件に限らず、ほとんどの市町村は老朽住宅を解体する所有者に費用を補助している。それでも経済的理由から難色を示す家主や、所有者が亡くなり相続人が複数いるケースなどもあり、交渉が長期化している物件もあるという。

 

高知新聞社の調査に対し、特定空き家を認定していない30市町村のほとんどは「著しく危険な物件がないため」と回答した。ただ、空き家の所有者に修繕や解体を促している状況は同じで、特措法によらない解決を優先している側面もある。

 

それでも特措法を背景に、所有者に対応を求めやすくなった▽空き家に関する情報提供が増えた▽固定資産税の納税記録照会ができるようになり、所有者を割り出しやすくなった―など多くの市町村は法整備を評価した。

 

2018年の総務省の住宅・土地統計調査で、高知県の空き家率は19・1%と全国5番目。およそ5軒に1軒が空き家で、風雨にさらされ続けている。移住・定住に活用するか、早期の解体を促すか。各市町村は特定空き家の“予備軍”への対応も迫られている。

2020/11/3 08:42

引用元:高知新聞より引用


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